この理容店はもともと母が経営していて、私で二代目です。子どもの時から理容店の仕事は身近なものでした。その頃は「人の髪の毛に触れて、きれいにしてあげることが好き」というだけだったので、理容でも美容でもこだわりはありませんでしたが、母親が理容店を経営していたので、自然な流れで理容師を選択しました。
専門学校卒業後は都内で働きたいと思い、池袋と大泉学園の店に10年間勤務し、14年ほど前に取手に戻ってきました。今でも都内で働いていた時のお客様が、取手まで来てくれることがあるんですよ。
訪問理容を始めたきっかけは、父親の入院でした。入院先の病院で母親が患者さんの髪をカットしてあげたのが始まりで、12年前に私が引き継ぎました。病院に専属で入っていますが、やはり高齢者の方が「さっぱりした」と喜んでくれるのはうれしいですね。また、高齢者の方は「床屋さんが行きますよ」と言うだけで喜んでくださることが多く、それが口コミで広がって、デイサービス施設などからも訪問理容の依頼を頂くようになりました。
現在、専属で入っている施設の患者さんや利用者さんは、車椅子で生活している方がほとんどです。そのため、身体を起こすなどの介助をすることなく施術できています。しかし、もっと多くのニーズに応えられるよう、自分自身が介助をできる資格を取得し、寝たきりの方にも対応できるようにしたいと思っています。
「SAMURAIになりたい」
SAMURAIという言葉には、「並の人ではちょっとできないようなことをやってのける人」という意味もあり、店の名前にも使っています。私も当たり前のことをするだけではなく、いろいろなことに目を向けてチャレンジをしていきたいですね。